賭け麻雀の違法性を巡る判例を御紹介

最近では現役の検察庁幹部が報道記者とともに賭け麻雀に興じ、繰り返し同席していたことが報道で発覚し、結局辞任に追い込まれたことが話題に上りました。
検察庁の幹部という立場上、違法行為に対しては厳正に対処すべきは当然で、失脚に追い込まれたのもある意味当然と言えるでしょう。
ところが日常生活では賭け麻雀に興じるあまり多額の借金を背負うことになった、といった話を耳にすることは珍しくありません。
偶発的に警察により摘発されることはありますが、ほとんどは捜査の対象になることもなく事実上放置されています。
それでは実際のところ賭け麻雀は犯罪に該当するのか、代表的な裁判例を参照しながら、その違法性について検討してみましょう。
まず違法性との関係で問題になるのは、賭博罪です。
刑法185条には、「賭博をした者には50万円以下の罰金・・に処する。
ただし一時の娯楽に用する物をかけるにとどまるときはこの限りではない」と規定されています。
ここに賭博とは、判例によると偶然の勝ち負けにより財産を得喪する行為をさすとされています。
また技量により勝敗が予めコントロールできる場合でもない限り、わずかでも偶然の要素が介入する余地があるかぎり、賭博に該当するというのが判例の考えです。
麻雀は技量の差異により勝敗が左右される側面があるものの、偶然性により勝敗に直結するのは確かであるため賭博行為に該当すると考えることになります。
そもそも麻雀といえども、のめりこむことで巨額の財産を喪失する恐れがあるだけでなく、それ以上のリターンを期待できるという習慣性があり精神的依存性も高いため、禁止する社会的必要性が高いとの考えが前提になっているものと考えられます。
となると賭け麻雀はすべて賭博行為に該当するという結論になりそうですが、それほど有害性の高くない遊戯にとどまる段階までも検挙するというのは現実的ではありません。
そこで問題になるのは、刑法185条の「ただし一時の娯楽に用する物をかけるにとどまるときはこの限りではない」但し書きが適用されるときは、賭博罪の成立が否定されるとい雨天です。
つまり「一時の娯楽に用するもの」ときとは具体的にいかなる事例をさすのかが非常に重要になってくるわけです。
たとえば雀荘で食べ物やドリンクの代金を負けた者が負担するといった場合が典型的です。
このような状況では支払金額も比較的低額で、すぐに消費してしまうもので財産状況に大きな影響をあたえるとは考えられないので賭博罪尾成立は否定されています。
ただしここで注意が必要なのは、金銭については金額の大小に関係なく、賭博罪は成立するものと最高裁は考えていることです。
もっとも刑法学者のなかには金額が少額にとどまるのであれば、「一時の娯楽に用する」とかんがえるべきとの見解を唱える人もいます。
とはいえ少額であっても、反復継続することで最終的には大きな損失を抱える可能性は否定できないので、現在でも判例は現金をかける賭け麻雀は違法性が高いと考えていると推認することができるでしょう。